2016年7月18日月曜日

スロージギングの細いラインシステムに警鐘を鳴らす

スローピッチジャーク,スロージギング.これらの流行は私もやっているぐらいなので,間違いないと思っています.


グーグルトレンドでみてもこの通り・・・.
釣り大国日本(釣りの道具だけは一級なのに釣り倫理に関しては一番遅れているという話ですが・・・その話題はまた今度にでも)ですから,世界のトレンドのほうが遅れてきております.
しかし,ここ近年の世界的に見た「Slow jigging」もなかなかの盛り上がりを見せており,シンガポールの某店ではBeatのプロパゲートBLXを見かけました・・・・.

で,これらが流行るにしたがって,老舗の船長さんたちもこの存在を認知しだしました.
が,評判は今のところ最悪です.

なぜか?

割と簡単に「切られる」からです.

これは分かっている人と分かっていない人の差が非常に大きな問題だと思います.
もちろん色々な考え方があっていいのだとは思いますが,個人的に切られるようなタックルで望むのはいろんな人に迷惑がかかると思っています.

例えばアカムツ・クロムツを狙うタックルそのままで浅場のカンパチをやるのは流石に無理があると思います.しかし,そういう方がやはりいらっしゃるようです.私も前にも書きましたが,そうでもないサイズに簡単に切られてしまう方は多々見ています.

あとは,やり取りに時間をかけすぎるからです.

例えば,良い潮が入っていて,魚がかかって,いい魚だから大事に取りたい.それはわかりますが,限度もあると思います.ちゃんとやっていて時間がかかっているなら誰も何もいいませんが,いたずらに走らせていては時間も消費するだけですし,走られるだけバレのリスクもありますし,ヘタしたら切られてしまいま す.さらにはその費やしている時間,時合を逃すことになり,普通ぐらいの時間で釣り上がっていればもう一流し時合を流せたかもしれませんよね?
私は時間をかけても大事にいってもいいと思っています.自分が魚をかけたらあげるのははやいですけどね・・・・.しかし,そうは思っていない人や船長さんもいるということを認識されたほうがよいとおもいます.とくに乗り合いの場合.チャーターならいいんじゃないでしょうかね?

さて,ラインの話に話を戻しますが・・・・その前に・・・・
私も魚に切られたことがないか?と言われれば,いくらでも切られていますのであんまり偉そうなことは言えません.個人的に思う一般常識的な意味で書かせてもらいたいと思います.(個人的に思う時点でなにも一般常識じゃないんですが(笑))

スロージギング(スローピッチジャーク)において,エキスパート(と呼ばれる)人たちはこぞって細糸を使っている傾向にあると思います.極端な話,アカムツなら1.2号とか1.5号とか・・・.カンパチ狙いでも2号とか2.5号とか.
最近は一部でパワースローなどという単語で3号以上も使われていますが,このように太糸を使うというだたそれだけで「パワースロー」などとあたかも新しい釣りであるかのようにコマーシャルされるわけです・・・.

※今回はスローで大型魚を狙う話をしていますので,アカムツ,クロムツ狙いなどに関してはこの記事の内容の限りではありません.


確かに,10年前のPEと比べると,今のPEは格段に進歩し,強度レベルもかなりあがっています.なので,ある程度昔より細くしてもよいと言われれば,私も納得します.

昔(15年とか前の話です)であれば,おおまかに1号=10ポンドという換算式が成り立っていたように思います.つまり1号10ポンド,2号20ポンド,3号30ポンド.4号40ポンドというような感じです.

最近はどうでしょうか?
これまたかなりおおまかにですが,1号≒15ポンドぐらいが標準のように思います.
つまり,1号15ポンド,2号30ポンド,3号45ポンド,4号60ポンド.
※かなりおおまかな話なのでPEのメーカーや表記,グレードによっては変わります!

つまり,15年前の感覚で言えば同じ太さで1.5倍ぐらいは強くなったのなかぁーと思っています.

ということで,昔は6号とかでやっていた釣りを4号で出来るようになり,4号でやっていたような釣りを2.66号≒2.5号でできるようになっていると理解することも出来ます.

細いラインシステム自体が問題というより,根本的な問題は,そのラインのポテンシャルをフルに活かせるやり取りが出来ていないことや適材適所でラインを使えてないことにあると思います.


・ラインの適材適所(超個人的な考え)

あくまで現時点での個人的な考え方です.
細糸と太いとの適所について
 例えば南の方(トカラとか沖縄とか)の深場(最低150m以上,200m前後)であればラインの水切り抵抗がプラスされるため,魚もあんまり引かないように感じ,ある程度のドラグでもやり取りが出来ます.
 鹿児島の浅場(150m以浅)におけるカンパチポイントは120m前後〜80mぐらいとかなり浅いので,テレビで南の方でやっているようなタックルとドラグ値だと簡単に走られて切られてしまいます.流石に根に擦れたら何号つかっていても一発ですからね・・・.鹿児島でも160m前後〜200mぐらいのポイントはありますので,そういうポイントだと少しは(普段より1号〜0.5号ぐらい)細くしてもよいかなぁとは思っていますが,それでも2.5号以下を落とすときは必ず上で食わせるような工夫をしたいと思っています

どこから細い・太いという話は水深によってかなり変わると思います.
よく南の方のカンパチ狙いで水深180mぐらいを2号〜2.5号とか使われていますが,コレを見て100m前後でも2号〜2.5号ぐらいを使われる方が居ますが,これはちょっとシステムが細いと思います.※大きい魚を狙う時の話です※

個人的な意見ですが,ジギングで大きい魚を狙う場合の最低限度のラインの太さ(潮が素直な場合です)
000m〜100m:最低PE4号できれば6号,8号
100m〜200m:最低PE3号できれば4号
200m〜:最低PE2.5号できれば3号

という感じです.※魚が小さい場合はこの限りではありません.
そんなこといって,お前は200mとか180mとかでPE3号で釣りを成立させられるのか?と言われそうですが,200mまでは大きい魚を狙う場合は最低PE3号は守ってやってます.これで周りの人に迷惑かけないぐらいのジグの落ちるスピード,ラインの膨らみをコントロールするためのジグをつけています.

・ラインのポテンシャルをフルに活かす

ドラグ値の設定は非常にシビアだとおもいます.
もちろん,リールによっても初期ドラグの掛け方は変えなければならないと思います.
以前,久米島のパワースロー動画を紹介しました.
http://kimamanitsuri.blogspot.jp/2015/11/som-tv.html
こちらに出演されている西本さんもおっしゃっていますが,だいたいの最大ドラグ値として
2号で7〜7.5kgドラグ.
3号で10kgドラグ.
この感覚です.
3号は普通に12kgぐらい掛けられますが,走りが早いマグロを狙う場合は上記のセッティングがよいのだとおもいます.勢い良く出るドラグは設定値よりかなり負荷がかかりますから.
オシアジガーの2000をきつく締めて7kgぐらい,カチカチに締めて10kgと思ってください.
ジガー2000はPE3号がカチカチに入れれば500m入りますから,そういう意味ではかなりよいリールだと思います!

ちなみに4号でも私はストライクは10kgに設定していますが,フルで14kg〜15kgぐらいまで上がる設定にしています.

上記がおおよそラインのポテンシャルをフルに活かせるドラグ設定値だと思います.

そんなにドラグをかけていたらハリがまがるんじゃない?と思われた方.
鋭いです.弱いハリでかかりどころが悪ければ簡単に曲がります.
また,細軸のハリだと見切れも多いです.実際身切れもよく見ています.

タックルシステムを構築する場合,色んな要素を考えながらセッティングをしていくと思うのですが,狙いたい魚とサイズが決まる.すると水深が決まって,ポイントが決まる,さらに潮流が決まれば,それに最適なラインを決めて,ドラグを決めてそれからジグやジグの重さ,以上のポテンシャルをすべて発揮できるハリを選ぶ.そしてやりたい釣り方を決めればロッドが決まる.といった手順で一度タックルを見なおしてみてはどうでしょうか?

もちろん,これは考え方,決め方一例に過ぎません.こういった手順でタックルを組んだことがない人は考えてみてはどうでしょうか?というだけで,コレじゃないとダメです!なとど申し上げているつもりはありません.

なかなか釣り人はワガママです.
このジグで釣りたい!この竿で釣りたい!このラインの細さで釣りたい!
色々な思いがあるのは分かります.私もそうです.
しかし,釣りをしている以上,魚を船に上げなければ釣りをする意味の半分も味わっていないと思います.
魚のあたりを楽しみたいだけなら,ハリをつけずにハリの重さと等しい針金などをつけて魚が掛からないようにしてはいかがでしょうか?と思います.

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2 件のコメント:

  1. いつも楽しく拝見させて頂いております。初めてコメントさせて頂きます。
    細糸でバチバチ切られる同船者を良く見ますが、まず船長次に同船者に失礼と思います。当方和歌山がホームなのですが、道具が細い方が非常に多いと感じておりました。細糸はジグも動き易くヒット率は上がるでしょうが、私は太糸でいかにジグをコントロールするか、という方に興味があります。(ドMですかね・・・?)掛けたら取る!のオトコマエな道具立てのスローピッチ、流行れば釣果が上がると思うのですが。(ヒット率は愕然と落ちるでしょうが。)

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  2. >通りすがりさん
    どうもです.コメントありがとうございます.
    これはもともとスローピッチジャークを始めた人たちの問題だとも思っています.
    細糸でやらないとジグが動かないなどと大々的に謳ってましたから.
    おっしゃるとおり,太糸でも動くジグ,動かせる方法を考えていくことが大事だと思います.細い道具で10ヒット来たうち1本しか上がらないけど太い道具で2ヒットのうち2本とも捕れれれば太糸のほうが良いと思うんですけどね.

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